ジャーナルJournal

Journal Vol.4 後編

菅沼 洋平さん 沼田 和輝さん(青龍臺青年部)

時代も変わってきて、起し太鼓に出てみたいという
女性も出てくるのではないでしょうか。

「起し太鼓のバチは、祭りまで神棚に飾る。それほど神聖なもの」という30代の菅沼洋平さんと、「今後起し太鼓を叩くのが夢」という20代の沼田和輝さん。祭りに積極的に参加する二人が考える、これからの古川祭とは。

女性の参加について、個人的に考えていること

沼田:青龍臺では、女性は囃子の参加は許されていますよね。
菅沼:僕らが小学生のころは囃子も女人禁制だった。
沼田:僕は起し太鼓も含めて、やりたいなら女性が出てもらってもいいと思っているんです。以前、僕の同級生の女の子が、「どうして私たちは乗れないの?やったらダメなの?」って大人に直談判して、その結果、青龍臺の屋台に関しては、乗りたい子は女の子でも乗っていいことになったんです。そうなったら、「私も乗りたい」「私も」と連鎖していって、いまは囃子は男女関係なく参加できるようになりました。起し太鼓だって、出てみたいという女性はいると思うんです。
菅沼:うーん、女性の参加、起し太鼓だけは俺は反対だなぁ。晒巻いて肌も出すし、周りは酒を飲んだ男たちばかりなので、それを考えると……。
沼田:もちろん参加するなら覚悟は必要です。男性でもけがをしたりとか、もみくちゃにされたりもしますから。個人的な意見ですけど、それを承知のうえでなら、女性が参加してもいいんじゃないかって思います。
菅沼:実は、僕の同級生にも“古川やんちゃ”な女性が数年前に男祭りに参加して。男連中が多い場所ではなかったけど、それでも女性が入るのは危険だと感じました。屋台をひいてもらったり、囃子には積極的に参加して欲しいけど、起し太鼓だけはちょっと……。なにか問題が起こって、古川祭が「楽しい」から遠のいてしまうのは嫌ですね。昼と夜含めての古川祭ですから。
沼田:からくりはどうでしょう。女性の参加が認められていませんが、今後手を挙げる女性がいるなら、一緒にやってもらったら。
菅沼:確かに、からくりはいいと思う。力がいるところがあるので紐が手に食い込んだりもするけど、男性よりも女性のほうが繊細な動きができると思うから、向いていると思います。
町内に住む人が減ったり、子どもの数が減ったりしているけれど、僕はまず「古川祭が楽しい」と思う人を増やすことだと思っています。青龍臺木偶保存会が立ち上がって昨年50年目を迎えたので、今年は記念冊子かなにかを作ろうかという話も上がっていて。からくりや古川祭の伝統を子どもたちにも伝えていくのは僕らの責任ですから。
沼田:我々世代の力で町を盛り上げて、古川で生まれ育った人たちが祭りのときだけでもいいから帰ってきてくれたらと思いますよね。僕も微力ながらがんばります。

古川の宝は「人」

菅沼:映画『君の名は。』で日本国内だけでなく外国からのお客さまも増えました。若い世代としては、どんな目的であれ古川に来てもらえるのはすごく嬉しいことだよね。
沼田:はい。古川のいいところを知って欲しいですね。古川の好きなところは、自然豊かで人とのかかわりを大切にしているところです。すれ違う人同士であいさつしたりって、いまの時代当たり前ではない地域も多いと思うんですけど、僕らはそれが当たり前です。
菅沼:下校途中の小学生とかも挨拶してくれるよね。元気に「こんにちはー」って言われたら、こちらも「こんにちは。気を付けて帰れよ」って自然と声が出る。

観光地だと、出会う人が商売で話しかけてくるような気がして遠くに感じてしまうことがあるけど、古川は観光地化されていないからこそ、住んでいる人が近くにいる感じがするんだよね。中には人見知りな人もいると思うけど、話しかけてもらえればそれにちゃんと答えるような、和やかな人の多い町だと思いますね。
沼田:町の若者のデートスポットは……、内緒にしておきたいんですけど(笑)。
菅沼:小さな町だから、デートでどこいっても知り合いに会っちゃうからね。でも、夜はみんなどの店もカップルで飲みに行ったりしていると思います。

沼田:観光客の方だったら、「まつり広場」もおすすめですね。近くでみたらしだんごや五平餅が食べられる店があったり、展示してある起し太鼓の太鼓も叩けますし。それと、喫茶店「あん」の「鉄板のナポリタン」も地元人気が高いです。
沼田:僕は、土産だったら「井之廣製菓舗」の「味噌煎餅」。昔はみそとしょうがしかなかったのが、いまはお婿さんが商品開発にも力を入れていて、えごまをチョコレートをコーティングした商品とか、いろいろな種類があります。お酒が飲める方なら、「渡辺酒造店」に来てもらったらたくさん試飲もできますよ。

沼田:全部おいしいんですけど、個人的には、「蓬莱 純米吟醸酒家伝手作り」が一番好きです。飛騨の酒って「おいしい」ってきれいな言葉じゃなくて「うまいっ」って感じ。雪が多い地域なのでどうしても塩気の多い食べ物が多いんですけど、それに合う、うまみがしっかり味わえるお酒です。

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ライター:干川美奈子 撮影:早坂直人[Y's C]